この小さな海域は、かつてロシアにとって最大の悪夢のひとつでした。
オホーツク海に位置するこの海域は「ピーナッツホール」として知られており、ロシアが周辺海域をほぼ完全に囲んでいるにもかかわらず、この部分だけが国際水域となっていた特異な区域です。
国際海洋法によると、沿岸国の排他的経済水域(EEZ)は海岸から200海里までと定められています。オホーツク海はほぼ全体がロシア領土に囲まれているものの、このピーナッツホールはその200海里圏外にあり、国際水域と見なされていたのです。
1990年代、この抜け穴を発見したポーランド、中国、日本、韓国、ブルガリア、ウクライナなどの国々が漁船団を派遣し、豊富な海洋資源を狙って漁を行いました。まもなく、数百隻の外国船がこの海域に集まり、ロシアの管理外で大量の漁獲が行われるようになりました。
過剰漁獲や国家安全保障への懸念から、ロシアはこの海域を自国のEEZに含めるための法的認定を国際社会に求めました。
そしてついに2014年、ピーナッツホールは正式にロシアの排他的経済水域に編入され、外国船の立ち入りは禁止され、モスクワによる完全な支配が回復されました。
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